バレエ・新体操で柔らかくなるには?危険なストレッチと、関節を守りながら柔軟性を高める方法

「もっと柔らかくなりたい」
「ぎゅっと伸びた膝になりたい」
「甲をもっと出したい」
バレエや新体操をしていると、そんな悩みからストレッチを頑張る方は少なくありません。
でも、ひとつ知っておいてほしいことがあります。
柔らかくなる=関節を限界まで緩くすること、ではありません。
普段何気なくやっているストレッチ。
伸ばしているのは、本当に「筋肉」ですか?
実は、バレエや新体操で行われるストレッチでは、
筋肉を伸ばしているもの
靱帯や関節に大きな負担をかけているもの
が混在してしまっていることがあります。
今回は、ストレッチで「柔らかくなる」ことの意味と、関節を守りながら柔軟性を高めるために知っておきたい身体の仕組みについてお話しします。
1. 靭帯とは?
「柔らかくするために伸ばして良い組織」ではありません。
靭帯は、関節を守るストッパーのような役割をしています。
関節が生理的な範囲(限界)を越えて、望ましくない方向へ動くのを防いでくれています。
靭帯は、筋肉のように自ら収縮して動きをつくる組織ではありません。
そのため、関節を無理に限界以上へ動かし、靭帯に繰り返し強いストレスをかけることには注意が必要です。
【バレエ・新体操で気をつけたい「ストレッチ」】
例えば、

膝を入れて反張膝をつくる
=本来の関節の動く方向ではなく、靭帯、関節包、半月板など、組織に負担がかかります。
1番ポジションにして、膝をゴムバンドで縛り、かかとを離していくような方法も同様です。

甲歩きや、甲をギューギュー押して出す
=新体操の難度である甲立ちや甲座りには、こういった動きも含まれる為、競技によっては必要な可動域でもあるのかもしれません。
競技の内容や競技レベルによっては、そこまでを求められないこともあると言うことを知っていただきたいです。また、無理に押すことで靭帯に負担がかかるだけでなく、後方インピンジメントなどの痛みにもつながる可能性があります。
など、本来動かない方向に無理に関節を動かそうとしたり、生理的な方向でも最終可動域を越えて関節に負荷をかけるような方法は、筋肉を伸ばすよりも関節を構成する組織に大きなストレスがかかります。
靱帯を含め、関節の組織に繰り返し過剰なストレスが加わると、関節の安定性が低下することがあります。
そして、一度ゆるくなった靱帯は、時間の経過やトレーニングによって「元の状態に戻る・強くなる」ことはありません。
「靭帯がゆるくなって関節可動域が広がった=踊るための良い状態になった」ではないのです。
ここは、バレエをする上でぜひ知っておいてほしいポイントです。
私は、バレエ・新体操を習っている方全員に、このような無理な可動域が必要とは全く考えておりません。
2. 関節が安定するための2つの仕組み
では、私たちの関節はどのように安定を保っているのでしょうか?
これには、
「静的安定機構」と「動的安定機構」
という2つの仕組みが関わっています。
① 静的安定機構とは?
靭帯、関節包や関節唇、半月板などが担っています。
靭帯は、関節が動かされ伸張されることによって張力を高め、関節が望ましくない方向へ動くのを防いでくれます。
筋肉とは違い、自ら収縮をしない組織で、エネルギーを使わず関節の安定に関わります。
そして、トレーニングで筋肉のように鍛えることはできません。
イメージとしては、「自分から動いて支える」というより、関節を守るためにそこにいてくれる受け身タイプの組織です。
怪我などによってその機能を損なうと、関節の安定性にも影響します。
② 動的安定機構とは?
こちらは主に筋肉が担っています。
筋肉は関節をまたいで骨と骨をつなぎ、自ら筋収縮をすることで、関節を安定させる張力や、関節を動かす力をつくってくれます。
靭帯や関節包とは違い、筋収縮にはエネルギーが必要です。
その一方で、トレーニングによって機能を高めていくことができます。
つまり、
静的安定機構=関節を受け身で守る仕組み
動的安定機構=筋肉が動いて関節を支える仕組み
という違いがあります。
3. 靭帯に頼った「柔らかさ」になっていませんか?
例えば、繰り返しの捻挫や、関節を無理に動かすストレッチなどによって靭帯が損傷すると、関節は不安定になりやすくなります。
これは、静的安定機構の低下です。
すると、失った安定性を補うために、筋肉によるサポート=動的安定機構がより重要になります。
さらに、筋肉が働きやすい状態にしておくことも大切です。
疲労が蓄積して筋肉のコンディションが良くないときや、エネルギーが足りないときも、筋肉による安定性をつくることは難しくなってしまいます。
これは、ライフスタイル・パフォーマンス・ピラミッドにおける「栄養・休息・睡眠」や、「関節の可動性・安定性・コントロール」のお話にも深くリンクしてきます。
※ダンサーの怪我の予防とパフォーマンス向上の為に知っておきたいライフスタイル・パフォーマンス・ピラミッドの記事はこちら
4. 「柔らかい身体」と「踊れる身体」は同じではありません
バレエでは、アラベスクやパンシェ、グラン・ジュテなど(脚を高く上げたり、開脚ジャンプなど)の柔軟性が求められる場面がたくさんあります。
だからこそ、
「もっと柔らかくなりたい」
と思うのも自然なことかもしれません。
ただし、目指したいのは単に「関節をどこまでも動かせる身体」ではありません。
必要なのは、
必要な可動域を確保し、その範囲を自分でコントロールできる身体。
柔らかさだけでなく、
関節の状態(適合性が良く安定性・可動性の良い生理的な状態)
支えられる力はあるか?
踊りの中でコントロールできるか?
まで含めて考えることが大切です。
「甲だししてるけど、踊るとつま先が伸びないな…」
「ストレッチを頑張っているのに、踊りやすくならない」
そんな方は、一度、
「もっと伸ばせばいい」
という考え方を見直してみてもいいかもしれません。
柔らかければ踊れるわけではありません。
一生関わる大切なご自身の身体。
身体の仕組みを知った上で、関節を守りながら、必要な柔軟性とコントロールを身につけていきましょう。
Tommy.NABO 院長 冨山尚見
【院情報】
バレエ整体 Tommy.NABO

所在地:東京都西東京市(西武新宿線 田無駅近く / 西東京市総合体育館付近)
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